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コラム
コラム No.23
電気自動車の車内走行音について
2019.11.13
今、自動車業界は百年に一度の大変革期を迎えていると言われています。また、それを説明す
るときCASE(Connected、Auntonomous、Shared & Serevices、Electric)という言葉が
よく使われています。
CASEのEは電動化を意味しますが、電気自動車については様々な意見があります。電気自動車
を支持する意見もあれば、その実用性や環境性能に懐疑的な意見もあり、普及予想にもかなり
幅があります。しかし、欧州のCO2排出量規制や中国のNEV推進政策、各国自動車メーカーの
動向などを見る限りでは、もはや止まらない動きであると思われます。
電気自動車はエンジンがなく、充電池や燃料電池からの電気でモーターを回して走行します。
エンジン音が無くなるため、走行中の車外や車内はエンジン車と比べるとかなり静かになりま
す。とは言っても風切り音やロードノイズは従来と全く変わりません。
昔はエンジン音が無くて静かなことは電気自動車の長所の一つに挙げられていましたが、電気
自動車が普及し始めて身近なものになってくると、歩行者が気付きにくくて危険であることが
認識され、車外に対して車両接近通報音を出すようになりました。
一方、車内音についてはこれまで問題になっていませんでしたが、最近では運転操作のフィー
ドバックとしての音がなくなることへの不満が少しずつ出てきています。すなわちアクセルを
踏んでも殆ど音が変わらないことです。それに対して、一部の自動車メーカーでは電子的な手
段で人工的な音を出す試みを行っています。
例えば、ジャガーが今年発売したI-Paceという電気自動車では走行速度やアクセル開度に対応
して音色や音量が変化する音をスピーカーから出すようになっています。その音はエンジン音
ではなく、やや未来的な音のようです。
また、マツダが来年発売する予定のMX-30という電気自動車でもI-Paceと似たような人工音を
出すことが発表されています。他にも同じような動きが見られる自動車メーカーやバイクメー
カーがありますが、すべての自動車メーカーがそうしているわけではありません。
なお、このような人工音に対する一般ユーザーの反応は様々です。
・未来的で楽しい。
・そんな音は要らない。静かに走りたい。
・疑似的なエンジン音が聞きたい。(名車の音)
・etc
私は自動車メーカーの人たちと意見を交わす機会があると、電気自動車の車内走行音をどうデ
ザインするつもりなのか質問していますが、明確な答えを持っている会社は少ないようです。
ここで、私が気付いたのは自動車メーカーの人たちも一般ユーザーも誤解をしていることです。
それは電気自動車の車内音は自動車メーカーが作ったものしか聞くことができず、ユーザーが
変えたり、消したりすることができないという思い込みです。
しかし、人工的な音を電子的手段で聞く場合には従来のエンジン音とは異なり、携帯電話の着
信音のようにユーザーが簡単に音を変更することができるのです。上で述べたConnected Car
なら音を配信することも容易ですし、もし聞きたくない場合はスピーカーをオフにすれば電気
自動車の素の状態で静かに走行できます。したがって、上記のようなユーザーの様々な要望は
一つのシステムで実現できるのです。
弊社ではこの考えを基に自動車のサウンドデザインをしていくつもりです。すでにそのシステ
ムは完成に近づいています。
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