今日、私たちの身の周りには工業製品が溢れていて、普段耳にする音の大
半は工業製品から出る作動音やサイン音です。しかし、それらは快い音ばか
りではありません。また、サイン音は何かを知らせることが目的であるのに意
味が分かりにくいケースもあります。
作動音は工業製品が本来の機能を果たす際に副次的に出る音ですから、不
要な音と思われがちですが、必ずしもそうとは言えません。例えば一眼レフ
カメラのシャッター音、自動車のエンジン音やドア音などは、作動状態を知ら
せてくれたり、製品の品質を感じさせてくれたりします。それらを完全に消す
ことは難しいだけでなく、大事な情報が伝わらなくなるという問題も生じます。
したがって、製品開発ではそれらの音は消すことよりも心地よい音質に変え
ることが求められています。作動音の音質改善は簡単ではありませんが、技
術的には決して不可能なことではありません。ただし、実際の音質改善にお
いてはHowと共にWhat、すなわちどのような音質にするかという目標設定の
方も重要になります。
一方、サイン音は人間が電子的手段で意図的に出す音ですから、音の自由
度は作動音よりも遥かに高いはずですが、近年よく耳にするのは電子ブザー
のピーピー音ばかりであるのは憂慮すべきことです。ピーピー音は耳障りで
あるだけでなく、どれもこれも同じような音なので区別がしにくくなるからです。
このような状況の中で、最近では工業製品の音をデザインしようとする動きが
始まっています。しかしながら、まだ社会的には殆ど認知されておらず、工業
製品音のデザインツールやサウンドデザイナーは不足しています。
そこで、私たちは工業製品の音をより快適かつ機能的にすることで生活の中
の音環境を改善することを目指し、インダストリアルサウンドデザインをを社会
に普及させると共に、サウンドデザインツールの充実とサウンドデザイナーの
育成を推進するために会社を設立した次第であります。
つきましては、今後皆様のご支援とご鞭撻を宜しくお願い申し上げます。
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